東北工業大学 工学部情報通信工学科 中川研究室


ラプラス変換の合成法則

前のページより続く
ラプラス変換同士の掛け算は、前のページの計算でこうなってました
( f ) ( g )
= ∫y=o x=o  e-s(x+y) f(x) g(y) dx dy

e-s(x+y) f(x) g(y) という関数を、x:0 →∞, y:0 →∞ という2次元空間で重積分しています。

解析とか微積の授業で習ったと思いますが、ふつうの関数の場合は、積分の順序を 逆にしたって構いませんし、変数を変換しても良いです。
ここでは、内側の積分を、 指数関数 e-s(x+y) の肩に乗ってる (x+y) に着目して、
x+y = t
と変数変換してみましょう。 いままで、2次元空間の点を x と y で表していたところを、 x+y と y で表す、ってかんじです。 内側の積分を する間は、外側のyは一定と考えるので、 x + y(一定) = t の両辺を微分して dx = dt, また
x: 0 →∞ のとき
t: y →∞
となります。これで書きかえると
( f ) ( g )

= ∫y=o t=y  e-s t f(t -y) g(y) dt dy

出来上がった式をしみじみ見ますと、 まず e-s t f(t -y) g(y) という関数を、まず tの下限y から無限大まで積分し、 それを y=0 の場合から 無限大まで積分することになります。
y=0 のときは tは 0 →∞
y=1 のときは tは 1 →∞
y=2 のときは tは 2 →∞
y=3 のときは tは 3 →∞
  :
というかんじに、yによってt の積分域の下限がじわじわと上がっていきます。 横軸に t, 縦軸に y をとった空間で言うと、 原点を通る傾き1の直線 y= t を描いて、その下側のエリアを、 tについて横に横に積分して、それをあとでyについて縦に積むイメージです。

教科書に
図が載ってる
かもね


積分順序入替
これを、同じエリア内で、先にyについて積分して、それをtについて並べるイメージで 積分順序を入れ替えてみましょう。 yについて考えると、積分範囲は0からで、傾き1の直線 y= t にぶつかったところで積分は終わりです。 この積分領域の上限が、t が大きくなるにつれて、じわじわ上がっていく感じです。 tの範囲は0から∞ですね。これを式に書けば
( f ) ( g )
= t=o y=ot  e-s t f(t -y) g(y) dy dt

e-s t は、y にとっては定数も同然ですから積分の外に出せて
( f ) ( g )
= t=o  e-s t y=ot  f(t -y) g(y) dy dt

ここで内側の積分を見てください。 yを事件のあった日、tは今日、g(y) が事件の重大さの度合い、f(t-y)を忘却の関数と思えば、 これはfとgのたたみこみ f*g ですね! また、外側の積分を見てください。e-s t をかけて、0から∞まで積分しています。 これはラプラス変換の定義でした!よって、
たたみこみの定義
ラプラス変換の定義



合成法則
( f ) ( g ) = ( fとgのたたみこみ f*g )

となることがわかりました。重要なので「合成法則」などと呼ばれてます。



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