東北工業大学 工学部情報通信工学科 中川研究室


ラプラス変換

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例題
ラプラス変換を使って、2階微分がでてくる問題

 y '' -3 y ' + 2y = 2 e3t ただし y(0) = 0y'(0)=0

をやってみましょう。

1.両辺をラプラス変換する
ラプラス変換( y '' ) -3ラプラス変換( y' ) +2 ラプラス変換( y ) = ラプラス変換( 2 e3t )
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2.ラプラス変換の微分法則を使う
ラプラス変換( y' ) = -y(0) + sラプラス変換( y ) なので、
y'' は (y')' と考えれば
ラプラス変換( y'' ) = -y'(0) + sラプラス変換( y' )だから
これを代入
-y'(0) + sラプラス変換( y' ) -3( -y(0) + sラプラス変換( y ) ) +2 ラプラス変換( y ) = ラプラス変換( 2 e3t )

3.もう一度微分法則 を使う
-y'(0) + s ( -y(0) + sラプラス変換( y ) ) -3( -y(0) + sラプラス変換( y ) ) +2 ラプラス変換( y ) = ラプラス変換( 2 e3t )
微分がでてこなくなるまで書き換えます。

4.初期条件を使う
問題文に書いてある y(0) = 0, y'(0)=0 を代入
-0 + s ( -0 + sラプラス変換( y ) ) -3( -0 + sラプラス変換( y ) ) +2 ラプラス変換( y ) = ラプラス変換( 2 e3t )

       s2ラプラス変換( y ) -3sラプラス変換( y ) +2 ラプラス変換( y ) = ラプラス変換( 2 e3t )

5.右辺を計算する
$\displaystyle \quad s^2 \mathcal{L}(y) -3s \mathcal{L}(y) +2 \mathcal{L}(y)= 2 \cdot{ 1 \over s-3 } $

6.左辺をラプラス変換( y ) でまとめ、 ラプラス変換( y ) = の形に持ち込む
$\displaystyle \quad (s^2-3s +2 )\mathcal{L}(y)= 2 \cdot{ 1 \over s-3 } $

$\displaystyle \quad (s-2)(s-1) \mathcal{L}(y)= 2 \cdot{ 1 \over s-3 } $

$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot{ 1 \over s-3 } \cdot{ 1\over (s-2)(s-1)}$

(s-3)(s-2)(s-1)のうち、(s-2)(s-1)の部分だけ 部分分数分解
$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot{ 1 \over s-3 } \cdot { 1 \over (\quad )} \left\{ { 1 \over (s-2) } - { 1 \over (s-1) } \right\} $

$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot{ 1 \over s-3 } \cdot { 1 \over ( 1 )} \left\{ { 1 \over (s-2) } - { 1 \over (s-1) } \right\} $
分配
$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot \left\{ { 1 \over (s-3)(s-2) } - { 1 \over (s-3)(s-1) } \right\} $
また部分分数分解
$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot \left\{ { 1 \over (\quad )}({ 1 \over (s-3) } - { 1 \over (s-2) }) - { 1 \over (\quad )}({ 1 \over (s-3) } - { 1 \over (s-1) }) \right\} $

$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot \left\{ { 1 \over ( 1 )}({ 1 \over (s-3) } - { 1 \over (s-2) }) - { 1 \over ( 2 )}({ 1 \over (s-3) } - { 1 \over (s-1) }) \right\} $

$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= 2 \cdot ({ 1 \over (s-3) } - { 1 \over (s-2) }) - ({ 1 \over (s-3) } - { 1 \over (s-1) }) $

$\displaystyle \quad \mathcal{L}(y)= { 1 \over (s-3) } - 2 \cdot{ 1 \over (s-2) } + { 1 \over (s-1) } $


7.右辺が何のラプラス変換か考える
ラプラス変換( y ) = ラプラス変換( e3t ) -2 ラプラス変換( e2t ) + ラプラス変換( et )

8.両辺のラプラス変換( )を同時にはずす
y = e3t -2 e2t + et
前に
計算したのを
思い出す

検算しましょう
出来た答えを元の方程式に代入して、成り立つかどうか確かめよう。
y = et -2 e2t + e3t
を微分すると
y' = et -4 e2t + 3 e3t
y'' = et -8 e2t + 9 e3t
これを元の方程式の左辺 y'' -3y' + 2y に代入し
問題の式の右辺と同じになればOKです。

初期条件も代入して確かめましょう。
y = et -2 e2t + e3t  に t=0 を代入すると
y = e0 -2 e0 + e0 =1-2+1 = 0
また y' = et -4 e2t + 3 e3t にt=0 を代入しても
y = e0 -4 e0 + 3e0 =1-4+3 = 0
初期条件と同じになったのでokですね!

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