東北工業大学 通信工学科 中川研究室 

中川朋子 学会・シンポジウム 発表論文要旨 

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不等間隔データの周波数解析の試みとのぞみ太陽風磁場観測への応用
Spectrum analysis of data with variable intervals: An application to the NOZOMI/MGF data
中川朋子、松岡彩子、のぞみMGFチーム
T. Nakagawa, A. Matsuoka, and NOZOMI/MGF Team

2001年地球惑星科学関連学会合同大会、 東京、代々木オリンピック記念青少年総合センター、 2001年6月5日. 

一般に周波数解析にはフーリエ解析や自己相関解析が良く使われる。飛翔体による観測データは離散化された後に地上に送られることが多いため、離散フーリエ変換などが用いられるのが普通である。普通の離散フーリエ変換では、データのサンプリングは等間隔に行われていることを前提にしている。これはMEMや自己相関関数でも同じであろう。サンプリングが不等間隔であったり、欠損があったりするの場合はこれらの方法はそのままでは使うことができない。しかし、このような場合でも、観測を最も良く再現するフーリエ級数展開を最小自乗法によって求めることは可能である。等間隔のデータに対してこの方法を用いれば離散フーリエ変換そのものとなることが知られている。データ欠損が多すぎる場合はもちろんうまくいかないが、データの抜けが解析期間全体に対して散らばっている場合はこの方法で周波数解析をすることが可能である。

 本研究では、火星探査機「のぞみ」によって得られた太陽風磁場データのうち、1999年9月に得られた分にこの方法を応用し、観測モードの変化やスピン周期の変化につれてデータ間隔が変ることがあっても、周期が1分程度以上の変動については周波数解析ができることを示す。

Fourier transform of intermittent, aperiodic samples of data, to which descrete Fourier transform is not applicable, is carried out by fitting a Fourier series to the data. This method is applied to the interplanetary magnetic field data obtained by NOZOMI spacecraft during the period from September 1, 1999 to September 30, 1999 to show the feasibility of spectrum analysis of data sampled with variable intervals. 

NOZOMI Observation of interplanetary magmetic field in 1998
T. Nakagawa, A. Matsuoka, and NOZOMI/MGF Team
Advance in Space Research, 29, 3, pp 427 - 432, 2002.

The insertion of NOZOMI spacecraft into interplanetary space, where other spacecraft were operating, added a new array of multipoint observation that extended up to 1.6 x 10^6 km in y-direction of the GSE coordinate system. The coherency length of planar magnetic structures has been found to be less than 1.9 x 10^6 km in a direction tangential to the discontinuity surface. The region of low coherency seemed to coincide with region of high density plasma. An interplanetary magnetic flux rope which appeared on October 19, 1998, was identical over a distance of 1.9 x 10^6 km, while in a high-beta sheath preceding it, the magnetic field appeared differently at separate spacecraft. 

NOZOMI Observation of interplanetary transients ejected as limb coronal mass ejections
T. Nakagawa, A. Matsuoka, and NOZOMI/MGF Team
Multi-wavelength observations of coronal structures and dynamics - Yohkoh 10 Anniversary Meeting, Kona 2002, Jan.20-24, 2002, Kona, Hawaii,

NOZOMI observation of the interplanetary magnetic field at 1.38 AU above the east limb of the Sun were used for the study of interplanetary objects which were ejected as coronal mass ejections (CMEs) from the limb of the Sun.
The result of NOZOMI observation of the solar wind magnetic field whose launch time coincided with ejection of limb CME was different from that estimated from ACE observation near the Earth, suggesting that NOZOMI encountered transient magnetic structures or that the heliospheric magnetic field re-structured after ejection of the CMEs. 
The interplanetary magnetic field showed complicated structure with wide range of variations from event to event, and no common structure was yet found. 
The convection speeds of the probable transients estimated from their travel times were less distributed compared with initial speeds of CMEs, and no clear relationship was found between them.


太陽磁気圏のセクター境界と平面状磁場構造の関係
Sector boundaries and planar magnetic structure
中川朋子、松岡彩子、のぞみMGFチーム
Nakagawa,T., A. Matsuoka, and NOZOMI/MGF team

2002年地球惑星科学関連学会合同大会、 東京、代々木オリンピック記念青少年総合センター、 2002年5月27日.

 太陽風中の「平面状磁場構造」は、磁場ベクトルが不連続面に平行なままで数時間にわたり不規則に変化する現象である[1]。磁場だけを見ると多層の tangential discontinuityのように見え、起源の異なるプラズマの接触する領域の磁場構造と考えられる。

 ISEE-3を用いた過去の解析によって、この「平面状磁場構造」は太陽磁気圏のセクター境界付近でよく見られることがわかっていたが、計算されたセクター構造の中心部に現れる場合もあったため、当時はセクター境界そのものではないと考えられた[2]。その後、活動域付近の閉じた磁力線のループが惑星間へ引き出されたというモデルが考えられたが、電子の流れの観測からは、ループ状の磁力線を示す結果は得られていない[3][4]。

 本研究では、惑星間空間を巡航中の火星探査機「のぞみ」の観測を用いて、太陽磁気圏のセクター境界と平面状磁場構造の関係を調べなおした。「のぞみ」は、我国で初めて、太陽風を1日24時間連続的にモニターできるようになった探査機である。惑星軌道上にあるため地球から離れた経度で観測を行う。そのため、地球近傍の探査機と組み合わせることによって、太陽の1自転を待たずに、太陽磁気圏の構造の変化を細かく追うことができる。

   1999年3月4日から12月25日までの「のぞみ」および「ACE」の連続的な磁場観測を3時間ごとに区切り、平面状磁場構造を自動検出してその発生時期を見ると、その多くが惑星間空間磁場で見たセクター境界に一致した。同一のセクター境界で3−5rotationにわたって「平面状磁場構造」が観測され続ける場合も多かった。2セクターから4セクターへ移行して行く際には、新しく現れたセクターがまだ小さいうちからすでに境界に「平面状磁場構造」が現れた。これらの結果から、「平面状磁場構造」はセクター境界、および、まだそれほど成長していない、異なる起源のプラズマの接触面の磁場構造と考えられる。異なる起源のプラズマの境界域の磁場が、どちらの領域とも異なる様々な方向をもつ原因として、境界面における磁場の再結合の可能性も検討する必要があるかもしれない。

[1] Nakagawa et al., JGR., 94, p11761, 1989.
[2] Nakagawa, Solar Phys., 147, p169, 1993.
[3] Neugebauer, JGR, 98, p9383, 1993.
[4] Nakagawa et al., Adv. Space Res., 26-5, p811-814, 2000.

Relationship between sector boundaries of heliospheric magnetic field and planar magnetic structures has been re-examined by using NOZOMI and ACE observations of interplanetary magnetic field of the period from March 4, 1999 to December 25, 1999. The interplanetary magnetic field data were divided into 3-hour periods, out of which planar magnetic structures were detected automatically. Many of the planar magnetic structures were found at the sector boundaries. Some of them persisted more than 3 rotations of the Sun. A newly emerged sector boundary was also accompanied by a planar magnetic structure. Thus the planar magnetic structures are thought to be the magnetic structure of the contact surface of plasmas of different origins.

NOZOMI observation of transient, non-spiral magnetic field in interplanetary space associated with limb CMEs
T. Nakagawa, A. Matsuoka, NOZOMI/MGF team
Solar Wind 10, Pisa, June 17 - 22, 2002.

The magnetic fields of interplanetary objects that were ejected as coronal mass ejections (CMEs) from the limb of the Sun were observed by the NOZOMI spacecraft at 1.38 AU above the east limb of the Sun. The solar wind magnetic field whose launch time coincided with ejection of the limb CME was different from that estimated from ACE observations near the Earth, suggesting that NOZOMI encountered transient magnetic structures, or that the heliospheric magnetic field re-structured after ejection of the CMEs. The corresponding interplanetary magnetic field showed non-spiral magnetic field, enhancements of magnetic field, or magnetic discontinuities, but no common structure was yet found.


Figure: Orbit of Nozomi in ecliptic plane with Sun-Earth line fixed.

ジオテイル衛星によって観測された月のウェイク起源のULF波動について
GEOTAIL observation of upstream ULF waves associated with the lunar wake
高橋芳典,中川朋子,
Yoshinori Takahashi, Tomoko Nakagawa

第112回地球電磁気・地球惑星圏学会、東京、電気通信大学、 2002年11月12日.

 1994年10月25日、月から約4万7千km(月半径の約27倍)上流に おいて、月のウェイク起源と見られる0.5 -- 1.2 HzのULF波動が 観測された。

 この波動はGEOTAIL衛星の磁場観測装置MGFによって地球の朝側およそ(-20,-60,-6)RE において観測され、その16Hzサンプリングデータを成分ごとに1分間ずつフーリエ解析す る事によって発見された。現象は1994年10月25日16:45から15分間、および18:55から6分 間の2度にわたって検出されている。この時間帯はそれぞれ、磁力線がGEOTAIL衛星と月の 朝側あるいは夜側を結ぶ配置となった時刻に対応している。

 地球の朝方側には、地球のバウショック起源のULF波も存在することが知られている が、今回報告する現象は、磁力線がGEOTAIL衛星と月の朝側・夜側を結ぶ配置となった時 間帯だけに観測されたことから、月のウェイク起源と考えられる。

 現象の見え始めでは0.9-1.2Hzの周波数帯で波動が強まっているが、周波数の下限が次 第に下がってゆき、現象の中心時刻では0.5Hz程に至ったものの、周波数の上限はほぼ 1.2Hzのままで変化していなかった。その後周波数の下限は次第に上がって行き、ほぼ最 初の状態に戻って消えた。磁場強度の変動よりも成分ごと変動の方が強く、横波的な変動 であることがわかる。周波数がイオンサイクロトロン周波数の約10倍であることから、平 行伝搬するホイッスラーモード波と考えられる。

 月近傍における同様の周波数帯の現象はISEE 1,2やWINDでも報告されている。 WIND衛星は月のウェイクに入る少し前、月半径の2-3倍の距離の夜側の軌道上で 1-2HzのULFを観測した。Farrel et al.(1996)はドップラーシフトした観測周波数が 太陽風速の変化に伴って変化することから元の周波数を2Hzと算出し、 月のウェイクに生じた電場で反射された約500eVの電子と共鳴したものと推定した。 Futaana et al.(2001)は月の前方月半径の約1.5倍の距離でウェイクで反射したと見られる 約100eVの電子流を観測している。今回の観測はこれらの報告よりはるかに上流においてULF 波を観測したものである。

 今回ULF波が観測された領域は、月に接する磁力線に垂直に約100kmの範囲に限られてお り、これはLe et al.(1993)がISEE1,2の観測から求めたバウショック起源の1Hzの波のコ ヒーレント長と一致し、またFarrel et al.(1996)の推定した波長とも一致する。

 このULF波が観測された時刻には上流に向かって流れる電子がLEPで観測されているが、 周囲には地球のバウショック起源の反射電子もあり、月のウェイク起源のものかどうかは まだ確定されていない。

Farrel et al., GRL 23, 1271, 1996.
Futaana et al., JGR 106, 18729, 2001.
Le et al., GRL 20, 1755, 1993.

Upstream ULF waves of 0.5 - 1.2 Hz were detected by GEOTAIL at 27 lunar radii upstream of the moon on October 25, 1994, when the spacecraft and moon were on the dawn side of the Earth's magnetosphere. The waves were observed twice at 16:45 - 17:00 and 18:55 - 19:01, when the interplanetary magnetic field line connected the moon and the spacecraft.

CMEの初速度と惑星間空間中の伝搬速度について
On the initial speed of CMEs and their propagation speed in interplanetary space
中川朋子
Tomoko Nakagawa

第112回地球電磁気・地球惑星圏学会、東京、電気通信大学、 2002年11月11日.

 太陽表面から放出されるCoronal mass ejections(CMEs)の 初速度が、その後どのように変化して1AU以遠に達するか という問題は、地球磁気圏への到達時刻を予測するという 宇宙天気予報的な側面のみならず、太陽風の加速を考える上で 特に重要な情報である。これまでにPioneer 9, Helios 1, 2, ICE, Pioneer Venus, Nozomi等の探査機によって惑星間空間中の ICMEの速度が放出時の初速度と比べられたが、そのほとんどに おいて、初速度の遅いCMEはその後加速され、初速度の速いCMEは その後減速されて、惑星間空間での速度は狭い範囲に集中する という傾向が示されている。

 Gopalswamy et al.(2000)は、SOHO/LASCOによるCME観測から、 CME放出時の速度の変化を追跡し、初速度v(0)と初期の加速度a(0) との間に線形の関係
 a(0) = c0 - c1 v(0)
があることを統計的に示した。彼らはまた大きいCMEほど減速を 強く受けることを示しており、周辺プラズマのdragが働いている と考えられる。上記の関係式は太陽のごく近傍での統計結果に すぎないが、もし以後の惑星間空間についても同様の機構が 働いていて、時刻tの速度v(t)と加速度a(t)の間の関係を
 a(t) = c0 - c1 v(t)
と仮定できるならば、これは容易に積分できて
 v(t) = w - ( v(0) - w )exp( -c1 t )
となり、速度v(t)は、時刻t及び太陽からの距離S(t)が進むに連れて 最終速度w=c0/c1(400km/s程度)に収束して行くことになる。 この傾向は観測と合うが、この考えに立つと、CMEは周辺プラズマ から常にdragを受けていることになり、CMEと周辺プラズマには それぞれ別の加速機構を考える必要が生じる。

Reference: Gopalswamy et al., GRL, 27, p145, 2000.

The speeds of propagation of CMEs in interplanetary space are less distributed than their initial speeds. In this paper, the linear relationship between the initial speed of limb CMEs and their initial acceleration presented by Gopalswamy et al. (2000) was extended to estimate the evolution of the speed of their propagation in interplanetary space.

NOZOMI Observation of interplanetary transients ejected as limb coronal mass ejections
T. Nakagawa, A. Matsuoka, and NOZOMI/MGF Team
COSPAR Colloquia Series Vol.13, Multi-wavelength observations of coronal structures and dynamics, edited by Martens, C.H. and D.P.Cauffman, Pergamon, pp.307-308, New York, 2002,

The magnetic fields of interplanetary objects that were ejected as coronal mass ejections (CMEs) from the limb of the Sun were observed by the NOZOMI spacecraft at 1.38 AU above the east limb of the Sun. The solar wind magnetic field whose launch time coincided with ejection of the limb CME was different from that estimated from ACE observations near the Earth, suggesting that NOZOMI encountered transient magnetic structures. The interplanetary magnetic field showed a complicated structure with a wide range of variations from event to event. The convection speeds of the transients estimated from their travel times were less distributed compared with the initial speeds of CMEs.

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