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解析 I 置換積分

掛け算の積分は掛け算に微分から行くのでしたね

$ \{ f(x) g(x) \}' = f(x)' g(x) + f(x) g(x) '$
積分して \begin{align} \Bigl[ f(x) g(x) \Bigr]_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} &= \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} f(x)' g(x) \, dx + \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} f(x) g(x) ' dx \\ \Bigl[ f(x) g(x) \Bigr]_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} &- \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} f(x)' g(x) \, dx = \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} f(x) g(x) ' dx \\ \end{align} この式を導出してからやればよいですね

$\displaystyle \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} f(x) g(x) ' dx  = \Bigl[ f(x) g(x) \Bigr]_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} - \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} f(x)' g(x) \, dx $ $f(x)=x, g'(x)= \cos{x}$と考えると $g(x)=\sin{x}$ になるから
\begin{align} \int_{\Large x=0から}^{\Large x={\pi \over 2}まで} x \cos{(x)} \, dx &= \Bigl[ x \sin(x) \Bigr]_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} - \int_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} 1 \cdot \sin(x) \, dx \\ &= {\pi \over 2}\sin{\pi \over 2} -0\sin{0} - \Bigl[ -\cos{x} \Bigr]_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} \\ & マイナスかけるマイナスのところは見つけ次第プラスに直す \\ &= {\pi \over 2}\sin{\pi \over 2} -0\sin{0} + \Bigl[ +\cos{x} \Bigr]_{ x=0から}^{ x={\pi \over 2}まで} \\ &= {\pi \over 2} -0 + \cos{\pi \over 2} -\cos{0} \\ &= {\pi \over 2} \qquad +\quad 0 \quad -1 \end{align}

$\displaystyle \int_{\Large x=0から}^{\Large x={\sqrt{\pi} \over 2}まで} x \cos{(x^2)} \, \ dx$

掛け算の積分だし、上の問題と似ているからと思って
$f(x)=x, g'(x)= \cos{(x^2)}$と考えると、 $g(x)$ が分からない!

だいたい、$\cos{(\quad)}$ の( ) の中が $x^2$ なんてやったことない。
ここが1文字だったらできるのに...

...今 大事なこと言いましたよ。「ここが1文字だったら

こんなときは、
「ここが1文字だったら」の所(今の問題なら$ u = x^2 $)を
$u$ と置いて1文字にすると うまくいくことがあります。
この方法を置換積分といいます。

置換積分

$ u $ と置くと決めたからには、元の式に出てくる$x$ を全部、
$u$ を使って書き換えていきます。 $x$ の出てくる場所は3つ、
(1) 真ん中の被積分関数
(2) 積分区間 $x=0$から $x={\sqrt{\pi} \over 2}$まで
(3) 最後の $dx$

この3つを書いていきます。最初に書くのはさっきの
「ここが1文字だったら」の置き換え
(1) $u = x^2 $

(2)次に積分範囲をかきなおしていきます。
さっきおいた $u = x^2 $に代入すると、
$x =0$ の時は
$u =0$
になりますね。そして
$ x ={\sqrt{\pi} \over 2}$ の時は
$ u ={\pi \over 4}$
になりました。

普通はこれを次のような小さい表の形にかきます

これを使って $\displaystyle \int_{\Large x=0から}^{\Large x={\sqrt{\pi} \over 2}まで} $ を $\displaystyle \int_{\Large u=0から}^{\Large u={ \pi \over 4}まで} $ に書き換えるのです。

(3) 最後に $dx$ もかきかえます。どうやって?
さっきおいた $u = x^2 $の両辺を、$x$ で微分します。
そのとき,$ ' $ でなく、 $\displaystyle {d \over dx}$ で書くことがポイントです。
  $u = x^2 $ より
$\displaystyle {du \over dx} = 2x $
そしてなんとこれを
$\displaystyle {du } = 2x dx$
$\displaystyle {1\over 2x} du = dx$  と変形するのです。そんなことやっていいの!?

この3つを使って問題の式を書き換えると

$x$ が約分で消えて
     
\begin{align} =& \int_{\Large u=0から}^{\Large u={ \pi \over 4}まで} \cos{ (u) } \, \ {1\over 2} du \qquad u だけの式になりました!\\ & 定数の掛け算は外に出してもよいので\\ =& {1\over 2} \int_{\Large u=0から}^{\Large u={ \pi \over 4}まで} \cos{ (u) } \, \ du \\ \end{align} ここまできたらあとは積分できますね。
ノートに書くとこんなかんじ


ご注意!この問題は、途中で
$x$ が約分で消えて、$u$ だけの式 にできたので成功しました。

$x$ が消えなくて、
$x$ と $u$ が混ざった式になってしまったときは
この方法は使えません

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