東北工業大学 情報通信工学科 中川研究室


中川朋子 学会・シンポジウム発表論文要旨 

月の極域で観測された1-12Hzの磁場変動の周波数降下について
Falling-tone ELF magnetic fluctuations detected by Kaguya above the lunar polar region
中川 朋子, Kaguya MAP/LMAG Team綱川 秀夫
Nakagawa, T. and H. Tsunakawa
第144回地球電磁気・地球惑星圏学会, 名古屋市, 名古屋大学,2018年11月26日.

月周辺には月と太陽風との相互作用によって様々な磁場変動が生じている。その 多くは、月の固有磁場の上空や、磁力線によって固有磁場と衛星がつながれると きに観測される。固有磁場あるいはそこに生じる局在電場によって太陽風のプロ トンや電子が効果的に反射されるためである。しかし、強い固有磁場の見られな い月の北極域で、極に近づくにつれて周波数が下がってゆく特徴的な磁場変動が 発見された。本発表ではこの周波数分散の成因について考察する。

この磁場変動は月が地球磁気圏のシース中にあった2008年6月14日、かぐや衛星 が夕方側(地方時はおよそ19時)から月の北極に向かって飛行中に検出された。 周波数降下のある磁場変動は3回連続して観測された。20:40に8Hzに現れた磁場 変動の周波数が7分かけて1Hzまで連続的に下り、次いで20:47に10Hzに現れた磁 場変動が20:52までに1Hzに下がり、さらに20:51頃12Hzに現れた磁場変動が21:00 までに1Hzまで降下し、21:00に北極に衛星が達すると1-12Hz全域に磁場変動がみ られ、そこで磁場変動は止まった。この期間中、背景磁場はほぼ南向きで、衛星 と月面を最短距離でつないでいたが、磁力線の先の月面上には顕著な磁気異常は なかった。磁場変動の偏波方向は背景磁場に対してすべて右回りであった。 Minimum variance analysisによって周波数ごとに求めたkベクトルの方向は磁力 線にほぼ平行であった。ACE衛星観測によると太陽風速度は500km/s,密度は20個/ cm3であった。

kベクトルの方向が太陽風の方向に垂直なので太陽風によるドップラーシフトは 考えなくてよく、偏波が右回りであることからこの波はホイスラ波と考えられる。 この周波数帯では高周波は速く、低周波は遅く伝搬する。周波数変化が太陽風に よる移流であれば、昼へ向かう軌道では遅い低周波が先、速い高周波が後に観測 されるはずで、現象を説明できない。衛星軌道上7分から10分にわたって朝夕 方向に広い範囲で観測されたことを考えると、異なる磁力線上を異なる周波数の 波が伝搬している構造中を衛星が通過したと考えざるを得ない。

固有磁場によって保護されていない月面上空で観測されたこと、およびこの時の 太陽風フラックスが普段より高かったことから、太陽風粒子の衝突によるスパッ タリングや二次電子の放出が期待される。これらの粒子が狭い粒子源から様々な 角度に放出されたと考えると、粒子速度は粒子源の直上では磁力線に平行に近く、 少し離れたところでは斜めの速度になると考えられる。kに対する各周波数を描 いた分散関係図上で、共鳴条件を示す直線とホイスラ波の分散曲線とは、V paraの小さいときは高周波、大きいときは低周波で交わるので、粒子源から遠 いところで高周波、粒子源の直上で低周波が期待される(ここでVpara は共 鳴粒子速度の磁力線に平行な成分)。共鳴粒子を電子と考えると、1-12Hzの波が 粒子から見て電子サイクロトロン波の周波数に見えるためには太陽風速を超える ビーム速度が必要となりエネルギー的に無理がある。反射粒子がイオンでホイス ラ波を追い抜く形で共鳴すると考えると、共鳴粒子速度は太陽風速以内で説明す ることができる。

Falling tone magnetic fluctuations in a frequency range 1 to12 Hz were detected by MAP/LMAG onboard Kaguya at an altitude of 100km above the moon. They were right-hand polarized, and the k vector was parallel to the background magnetic field. They were detected when the moon was in the Earth’s magnetosheath and the spacecraft was moving along a path from the evening side toward the north pole of the moon. An attempt was made to explain the falling tone spectral feature with a cyclotron resonance of a whistler wave and ions sputtered from the moon.

太陽風中の月ウェイク境界の渦による沿磁力線電子流
Field aligned electron flow generated by vortex at the lunar wake boundary
中川朋子、澤里優海、志賀友輔、綱川秀夫, 斎藤 義文
Nakagawa, T., Y. Sawasato, Y. Shiga, H. Tsunakawa, and Y. Saito
日本地球惑星科学連合2018年大会,千葉,幕張メッセ国際会議場,2018年5月24日.

太陽風中の月の背後には、ウェイクと呼ばれるほぼ真空の領域ができるが、極軌道で月を周回していたかぐや衛星が南極から北極(または北極から南極)へウェイクを通過する際、背景磁場に対する磁場変動の偏波が北半球と南半球で逆になることが観測された。偏波の向きは太陽風に垂直な磁場成分Byの向きによって反転し、いずれの場合も流体中の物体の背後にできる渦と同じ向きの回り方であった。

当初、ケルビン-ヘルムホルツ不安定を想定して太陽風プロトンの速度シアーを検出しようとしたが、ウェイクに入ると急速にプロトン密度が減少し速度が得られず、ウェイク中にかけて流速が遅くなっていく例はわずかであった。2008年1月1日から5月31までの期間中、同様の事象が起きた時の太陽風の条件を調べると、太陽風速度は通常より速い傾向があった。磁場方向は通常より流れに直角に近づく傾向が見られたが、これは流れに平行な磁場Bx成分が弱いためではなく、流れに垂直なBy成分が強いためであった。速度シアーによる不安定をBxが抑えているというよりむしろ、飛ぶボールの背後にできるような渦が月のウェイク境界全体にあって、磁場の向きが渦の回転軸に平行なところで偏波がきれいに見えているらしいことが推察された。

また、磁場を持ったプラズマが渦運動することにより電場が生じ、沿磁力線電流が流れこんでいる例が見つかった。By卓越時の磁力線に沿った変化は極軌道のかぐや衛星では観測できないが、磁場方向が90度回転した状況下で磁力線方向の空間変化を観測することができる。2009年2月27日に北向き太陽風磁場中朝側半球で左回り偏波が観測されており、この渦運動によって磁力線が回っている状況はプラスの電荷の発生と等価であるが、これに合致するように、電荷発生の領域に向かって南半球では北向き、北半球では南向きの沿磁力線電子流(4000km/s)が検出された。By卓越時にはy方向に高速の電子流が見られ、同じメカニズムと考えられる。

Field aligned electron flow was found by Kaguya MAP-PACE instrument in association with vortex at the lunar wake boundary inferred from the polarization of the magnetic field fluctuation observed by MAP-LMAG with respect to the background magnetic field. The speed of the electron flow was 4000 km/s and the direction was consistent with the equivalent electric charge generated by the magnetic field convected by the vortex motion at the wake boundary.

太陽風中の月のウェイク中のKH不安定的な磁場変動について
On the Kelvin-Helmholtz-like waves at the lunar wake boundary in the solar wind
中川 朋子, 綱川 秀夫, 斎藤 義文
Nakagawa, T., H. Tsunakawa, and Y. Saito
第142回地球電磁気・地球惑星圏学会, 宇治市, 京都大学宇治キャンパス, 2017年10月18日.

かぐや衛星搭載のMAP/LMAGによって観測された、月のウェイク中でケルビン-ヘルムホルツ(K-H)不安定による渦と同じ向きに回転する磁場変動について考察する。これは太陽風の流れ(SSE座標でx方向)に対し磁場が垂直(By卓越)な時に顕著に見られ、IMF-Byが正(duskward)なら北半球で左回り、南半球で右回り、IMF-Byが負(dawnward)なら北半球で右回り、南半球で左回りとなっていたもので、rotBが北半球でdawnward、南半球でduskwardを向いていることを示し、K-H不安定と同じ向きである。Bzが卓越する場合も朝側でrotBが南向き、夕方側でrotBが北向きであった。

この波が観測され始めるのは、昼夜境界よりもやや夜側で、月のウェイクに向かってプラズマ密度が急激に減少する層からである。密度変化層の厚さは300-430km程度であり、太陽風プロトンの熱速度から求めたラーマー半径100kmの数倍でしかない。密度が2分の1になるまでの距離はさらに1桁小さく、運動論的な効果が効いてもおかしくないスケールとなっている。低密度のため速度シアーの直接観測は難しい。

このK-H的な波はウェイク境界で最高0.3Hz程度まで観測されるが、これは20-30秒周期の基本波の波形が鋸歯状になったために出た成分であり、乱流が発達した形跡はない。波はウェイク中心にかけて連続的に観測され、月の真裏では周期100秒程度の正弦波となる。赤道通過で偏波が反転し、反対半球のウェイクでまた鋸歯状の波形に戻っていく。ウェイク中心の磁場変動はウェイク境界から伝播してきたか、あるいは誘導されたものと考えられる。最小変化法(minimum variance analysis)によって求められるkベクトルの方向は、背景磁場に平行に近い場合・垂直に近い場合の両方があった。

地球磁気圏や水星磁気圏と太陽風(シース)との境界においても似たような波が良く観測されるが、月の場合は水星で見られたような朝夕非対称に対応するものはなかった。磁場が天体由来のものでないため、対流電場によるラーマー半径の拡大・縮小の効果があまりないと考えられる。

Kelvin-Helmholtz vortex-like waves were found by MAP/LMAG onboard Kaguya in the lunar wake. They were preferentially found in the lunar wake boundary when the solar wind magnetic field was perpendicular to the bulk flow. The sense of rotation was consistent with the Kelvin-Helmholtz vortex. The thickness of the density gradient layer at the wake boundary was about 300-430 km, which was only several times of ion Larmor radius. The waveform was steepened at the wake boundary, and became sinusoidal in the central wake. No dawn-dusk asymmetry as observed at Mercury was found.

Small scale limb compressions detected by Kaguya
Nakagawa, T., and H. Tsunakawa
SELENE symposium 2017, Waseda University, Tokyo, 2017年9月14日.

A limb shock or a limb compression of magnetohydrodynamic (MHD) wave is one of the manifestations of the solar wind interaction with the lunar crustal magnetic field. The solar wind magnetic field is believed to pass through the moon essentially unimpeded, but the presence of the local lunar crustal magnetic field give rise to MHD waves which propagate in the solar wind. Since the solar wind flow is much faster than the MHD waves, the wave front flares away from the moon, and are observed as a limb shock or a limb compression. Kaguya detected limb compressions whose scale size was much smaller than those previously reported. The duration of the magnetic enhancements was specifically 10 seconds, which corresponds to the scale size of 15 km and 0.5 degrees in latitude. The magnitude of the magnetic field enhanced up to 1.5 to 3.6 times as large as that of the preceding quiet periods. No such magnetic enhancement was found in the simultaneous solar wind magnetic field observed by GEOTAIL. Differently from the previously reported events, the small limb compressions were not detected above the major magnetic anomalies.

IMF-Byの卓越した太陽風中の月のウェイク境界における磁場擾乱の偏波非対称について
North-south asymmetry of sense of polarization of magnetic fluctuations at the wake boundary in the By-dominated solar wind magnetic field
中川 朋子, 綱川 秀夫, 斎藤 義文
Nakagawa, T., H. Tsunakawa, and Y. Saito
日本地球惑星科学連合2017年大会,千葉,幕張メッセ国際会議場,2017年5月24日.

太陽風磁場のBy成分が卓越しているとき,極軌道で月を周回するかぐや衛星の磁場観測によって,北半球と南半球で磁場に対する偏波が逆になる低周波(0.1-0.3Hz)の磁場変動が見られた。IMF-ByがSSE座標で正(duskward)のときは北半球で左回り,南半球で右回り,IMF-Byが負(dawnward)のときは北半球で右回り,南半球で左回りであった。これはIMF-Byの極性に関わらず,rotBが北半球でdawnward,南半球でduskwardを向いていることを示し,Kelvin-Helmholz不安定と同じ向きである。

ウェイク境界では周波数が高め(0.5Hz)でかつ周波数幅が広く,波形も三角であるが,衛星が月の真裏のウェイク中心に進むにつれ,周波数は下がり(0.05Hz),sinusoidalな波形となっていた。この状況は,地球の磁気圏境界を太陽風が吹きすぎる際の表面波の場合と類似している。Chen and Hasegawa (1974, JGR)は境界層に厚みがあると表面波が減衰することを示していたが,月のウェイク境界は密度勾配が急峻で,1.0RLから0.88RLまでの距離0.12RLで100分の1になることから,exp(-z/L)の形に書いた際のLは40km程度であり,そのために表面波の減衰が弱く,境界から遠いウェイク中心でも波が残っていたと考えられる。

North-south asymmetries of sense of polarization of magnetic fluctuations were detected by Kaguya MAP/LMAG at the lunar wake boundary in the By-dominated solar wind magnetic field. The sense of rotation was consistent with the Kelvin-Helmholtz instability. The frequency was higher at the wake boundary and lower in the central wake. The waveform was steepened at the wake boundary, and was sinusoidal in the central wake. The magnetic field configuration is similar to that of the Earth’s magnetopause, while the thickness of the transition region at the lunar wake is as small as 40km due to the steep density gradient. The thin boundary would account for that the wake did not decay in the central wake far beyond the boundary.

月周回衛星かぐやによって観測された1-12Hzの霧状の磁場変動について
Diffuse magnetic fluctuations in the frequency range 1-12Hz detected by Kaguya above the polar regions of the moon
菅田義輝,伊藤翔,中川朋子,綱川秀夫
Sugata, Y., S. Ito, T. Nakagawa, and H. Tsunakawa
日本地球惑星科学連合2017年大会,千葉,幕張メッセ国際会議場,2017年5月24日.

月面及び月固有磁場と太陽風との相互作用によって,月周辺には様々な磁場変動が生じていることがかぐや衛星をはじめとする近年の月探査衛星によって次々と明らかにされてきた。本研究では,1-12Hzの下部ELFの周波数帯に,ダイナミックスペクトル上で霧状にみえる磁場変動を発見したのでその特徴及び発生特性について報告する。

この磁場変動は2008年6月14日20:40から21:00にかけて,月の北極付近で検出された。周波数域は1-12Hzと広く,明確なピーク周波数はなくdiffuseである。時間的にも,明確な開始・終了ではなく,ぼんやりと始まり徐々に消えていくため,ダイナミックスペクトル上では霧のように広がって見える。沿磁力線電子流の有無や磁力線の月面とのつながりの有無やによって強さが切り替わる広帯域ホイスラとはこの点が異なっている。 同様な霧状の磁場変動を,かぐや搭載磁力計LMAGによって2008年1月1日から2009年3月31日までの間に観測された32Hzサンプリング磁場データ中から探したところ,全8例見つかった。周波数幅は4Hzないし15Hzと広く,これらは月が太陽風中にあるときに検出された。8例中5例は月の昼側で観測され,検出位置は北極と南極に集中していた。なお,かぐやは極軌道衛星のため,限られた時期を除いては,昼夜境界を通るのは極域に限定される。8例中6例は北半球で検出された。

また8例中4例で周波数が時間とともに下がっていた。この4例とも,衛星が極に近づくにつれて周波数が下がっているように見えた。霧状の磁場変動が観測された時の太陽風条件は,速度は平均的だったが,密度は平均よりも高い値であり,太陽風速度と密度の積の大きい時に強度が強い傾向が見られた。

この磁場変動の発生原因は未解明であるが,昼側での検出が多いこと,太陽風のフラックスと関係があること,固有磁場の弱い領域で発生が多いことから,太陽風粒子による月面のスパッタリングとの関係が考えられる。

Kaguya found a type of magnetic fluctuations in the frequency range between 1 and 16 Hz with gradual appearance and disappearance, at a 100km altitude above the polar regions of the moon in the solar wind. They were found in the 32Hz sampling magnetic field data obtained by MAP/LMAG onboard Kaguya. The data were Fourier Transformed every 32Hz. In the dynamic spectra, the magnetic fluctuations appear diffuse like a haze, due to the broad bandwidth and gradual appearance with no discrete boundary. The bandwidth was 4Hz -- 12Hz. Eight events were found during the period from January 1, 2008 to March 31, 2009. They were found mostly on the dayside and predominantly above the polar region, where the orbit of Kaguya crosses the terminator. Six of 8 events were found in the northern hemisphere. Half of the events showed gradual decrease of frequency according as the spacecraft approached the North Pole. The solar wind speed was not high during the evens, but the intensities of the magnetic fluctuations was higher when number flux of the solar wind was higher.

かぐやが観測した磁場と月面の磁場を3D表示するソフトの開発
Software for virtual 3-dimensional display of Kaguya in-situ observation of magnetic field and the magnetic anomalies on the moon
高寺 寿門,中川朋子,綱川秀夫
Takatera, H., Nakagawa, T., H. Tsunakawa
日本地球惑星科学連合2017年大会,千葉,幕張メッセ国際会議場,2017年5月24日.

高寺 寿門,中川朋子,綱川秀夫 かぐや衛星によって月周回軌道上で観測される多様な磁場変動は,太陽風と月面及び月の固有磁場との相互作用を反映している。それぞれの変動の発生メカニズムの解明には,月に対する衛星の位置だけでなく,衛星と月面間の磁力線のつながりや固有磁場との位置関係を考慮する必要があるが,太陽風,月面,太陽風磁場,月固有磁場の位置関係を2元的な表示で把握するのは困難である。そのため,これらを3次元的に表示し,見やすい角度から吟味できる表示ソフトウェアを開発した。

本ソフトウェアで表示するデータは,衛星かぐやに搭載された月磁場観測装置LMAGで観測された磁場3成分の1秒平均値,およびかぐやの月磁場観測に基づいてSVM法によって得られた高度0kmおよび月面上空30kmの月面上磁場である。月面上空0kmは60.6km間隔,月面上空30kmは151.6km間隔で推定したデータを使用する。ソフトウェア開発では3次元コンピュータグラフィックスのためのライブラリOpenGLを使用する。開発環境はMicrosoft Visual studio 2013で,言語はC言語を使用し,動作環境はOS:Winsows 8 64 bit,CPU:Intel Core i5である。 本ソフトウェアによって,かぐやの位置における磁場ベクトルとともに月面の磁場を3次元的に表示し,かぐやが観測したデータが月面の磁場の影響を受けているかどうかを把握することが容易になった。月面の磁場は色による強度表示のほか,ベクトルによる表示も選べるようにした。ユーザが入力した日付と時刻からデータを読み続けることによって月周回のアニメーションの再生や一時停止も可能であり,視点を自由に移動させることでイベントごとに見やすい方向からの画像を得ることが可能となった。

A variety of magnetic fluctuations were found by Kaguya in its orbit around the moon. They manifest the interaction between the solar wind and the lunar surface or the lunar crustal magnetic field. To understand the generation mechanisms of those phenomena, it is crucial to examine the relative potion of the spacecraft with respect to the moon in the solar wind and the magnetic anomaly on the surface, as well as the magnetic connection between the spacecraft and the moon. In order to make it easier to realize the 3-dimentional configuration, we have developed computer software which enables a virtual 3-dimensional display of magnetic field vectors observed by Kaguya on the position of the spacecraft, together with the lunar magnetic field displayed on the moon. The data used are the 1-s averages of the Kaguya/LMAG magnetometer and SVM data (Tsunakawa et al., 2015, JGR Planet).


Polarization characteristics of Pc1 pearl structure observed at Kawatabi, Osaki, Miyagi prefecture

Shinya Miyake, Seiya Yamakawa, Yuma Doi, Tomoko Nakagawa
日本地球惑星科学連合2017年大会,千葉,幕張メッセ国際会議場,2017年5月24日.

Pc1 geomagnetic pulsations are often found in the ELF magnetic field data obtained by two sets of induction magnetometers EL-12 constructed by Tierra Technica Co. Ltd, placed in North-South and East-West directions at Kawatabi, Osaki, Miyagi prefecture Japan. The magnetic latitude of the observation site is N30 and the L value is about 1.3. Although the data coverage was not very good, we have found 7 examples of pearl structures, within the frequency range of 1 to 5 Hz. They showed temporal variation of bandwidth such as 0.3 to 1.2Hz, or 0.9 to 1.8 Hz, forming pearl structures in dynamic spectra. The frequency itself also varied with time: they rose in 3 cases found in pre-midnight, and fall in 4 cases in the pre-midnight region. Polarization of the magnetic variation was examined by using Fourier components of N-S and E-W magnetic field components. We have 4 evens for which E-W and N-S observations were available. The polarization was steady and right-handed for one event, but for the rest, it was variable. One event showed left-handed polarization at higher frequency and right-handed in the lower. Other two events showed alternative polarizations pearl to pearl.

宮城県大崎市川渡で観測された雷によるELF帯磁場変動の東西方向成分と南北方向成分の違い
Difference between North-South and East-West components of ELF magnetic disturbances associated with lightning detected at Kawatabi, Osaki, Miyagi, Japan
高橋 翔太, 西山 洸太朗, 中川 朋子
Takahashi, S., K. Nishiyama, T. Nakagawa
日本地球惑星科学連合2017年大会,千葉,幕張メッセ国際会議場,2017年5月24日.

東北工業大学では1998年より宮城県大崎市川渡にインダクション磁力計を設置し,1[Hz]から20[Hz]の下部ELF帯の磁場変動観測を行っている。この周波数帯には地球磁気圏の太陽風に対する応答であるpc1帯地磁気脈動や,雷に起因する電磁波の空洞共鳴であるシューマン共振などが検出されるが,それらを凌駕する強さで雷による磁場変動が観測される。本研究では,この雷と思われる磁場変動の南北成分(NS)と東西成分(EW)の違いについて報告する。 観測はテラテクニカ社製のインダクション磁力計で行っている。センサーはコアにパーマロイを使用した巻き数3万回のインダクションコイルである。信号は128Hzでサンプリングされる。磁力計の感度の周波数依存性が大きいため,フーリエ変換後に感度補正を行う。こうして得られるスペクトル中,雷によると思われる信号は,0.1-20 Hzの観測周波数全域にわたり強度が上がる。特に強いピーク周波数はこの帯域では見られない。この観測システムでは,生波形はインパルス的な強い信号ののちに減衰振動を伴う形で観測される。夏の午後に多く,短時間のノイズが次々現れる形で観測される。  南北方向,東西方向に隣接して独立に設置された2つの観測システムのスペクトルを比較すると,一方向だけに雷に特徴的な磁場変動が見られ他方には全く見られないケースが見つかった。2005年9月10日の16時0分の例では,東西方向成分に広い周波数にわたり,雷の特徴を持つ強い磁場変動があるのに,南北成分には3Hz以上には強い磁場変動が見られなかった。 このような例が2001年から2005年,及び2011年のデータ中から8例見つかり,そのうち6例で東西成分だけに磁場変動が見られた。これは観測地の近隣の雷の発生位置の方向を反映していると推察される。

In the record of 0.1-20 Hz Extremely Low Frequency (ELF) magnetic variations observed by using two sets of induction magnetometers for NS and EW components, there found cases where broadband disturbances were present only in one of the two components. Intense disturbance was found in EW component in 6 out of 8 events found at Kawatabi, in the absence of NS disturbances. It would suggest the orientation of the source lightning near the observation site.

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