東北工業大学 情報通信工学科 中川研究室


定数係数線形非同次微分方程式を解く

ラプラス変換を
使わない解き方:
y '' + 2 y' + y = sin( t ),    ただし y(0) = 1, y'(0)=0

y とか y' とか y'' の1次しか出てこない(y2や y3が無い)ので、「線形」で、 係数にtが出てこないので「定数係数」、yの出てこない右辺が0ではないので「非同次」の微分方程式です。

はじめに斉次式を解く

さいしょに、わざと 右辺の sin( t ) をなくしてyだけにした式
y '' + 2 y' + y = 0
を解きます。y の1次だけの式なので、これを斉次式と呼びます。 (同次式とも言います。)

右辺をなくすのではなく
y 以外のものをなくす
のがポイント
とは「揃ってる」
という意味
y = eλ tと置く

「定数係数」で「線形」で「同次」の微分方程式なら、ふつう
y = eλ t
と置くと簡単に解けます。
y' = λeλ t
y'' = λ2eλ t

これを斉次式に代入すれば
2 + 2 λ + 1 ) eλ t = 0
eλ t は絶対プラスだから(0にならないから)
2 + 2 λ + 1 ) = 0

ふつうはここで
λ=なんとか、λ=かんとか、て感じに2つλが得られるんですが、
今回は
(λ + 1 )2 = 0 なので、λ = -1 (重解)
になっちゃいました。1個しかわからん。

ふつうは 斉次解が
y =eなんとか t
y= eかんとか t
と 2つ得られるん
ですよね

斉次解の一つは
y = e-t
でいいけど、もう一つはどうなるの?
もう一つの斉次解
もう一つの斉次解は、定数変化法で分かるんです。
今出た斉次解
y = c e-t
を使って、定数c の代わりに u(t) とか置いて
y = u(t) e-t
を斉次式に代入します。
y' = u(t)' e-t + u(t) ( e-t )'
y' = u(t)' e-t - u(t) e-t
y'' = u(t)'' e-t - 2 u(t)' e-t + u(t) e-t
斉次式に代入すれば
u(t)'' e-t - 2 u(t)' e-t + u(t) e-t
    + 2 { u(t)' e-t - u(t) e-t } + u(t) e-t = 0
整理整頓すると結構消えて
u(t)'' e-t = 0
e-t はプラスだから(絶対0にならないから)
u(t)'' =0
てことは u(t)' = 定数
てことは u(t) = 定数 t
てことは y = u(t) e-t に代入すれば
もう一つの斉次解は
y = t e-t

e-t と t e-t の2つの斉次解が揃いました。
この2つを基本解ともいいます。

λが2重解になったら
基本解は
eλ t と t eλ t
と 覚えてしまっている
人も多いです
次に定数変化 次に、もともと解きたかった式 (非斉次式、yの1次でない項がある)
y '' + 2 y' + y = sin( t )
を解きます。

さっき求めた基本解の1次結合
y = c1 e-t + c2 t e-t
定数c1, c2 の部分を
t によって変化する 関数 u(t) , v(t)と置き直して
y = u(t) e-t + v(t) t e-t
と書き、これを
y '' + 2 y' + y = sin( t )
に代入します。 (この方法を定数変化法といいます)

何か一つ解が出ればいいので、めんどうだからvは0にして
y = u e-t
y' = u' e-t - u e-t
y'' = { u'' - 2u' + u } e-t

代入して
{ ( u'' - 2u' + u ) + 2( u' - u ) + u } e-t = sin( t )

意外と消えて
u'' e-t = sin( t )

u'' = et sin( t )
積分
u' = ∫ et sin( t ) dt
これは結構面倒な積分になるので、オイラーの公式で逃げると u' = ∫ et ( eit - e-it )/2i dt
u' = (1/2i ) ∫( e(1+i)t - e(1-i)t) dt
これなら積分できるから
u' = (1/2i ) { e(1+i)t/(1+i) - e(1-i)t/(1-i) }
も一度積分
u = (1/2i ) { e(1+i)t/(1+i)2 - e(1-i)t/(1-i)2 }
ここで右辺の分母の
(1+i)2 = 1 + 2i + i2 = 1 + 2i -1 = +2i
(1-i)2 = 1 - 2i + i2 = 1 - 2i -1 = -2i だから
u = (1/2i ) { e(1+i)t/2i + e(1-i)t/2i }
u = 1/(2i ) { e(1+i)t + e(1-i)t }/(2i )
u = 1/(2 i2) et { eit + e-it }/2
u = -(1/2) et { ( eit + e-it ) /2 }
u = -(1/2) et { cos(t) }
u が求められたら
y = u e -t に代入すれば
y = -(1/2) cos(t)

これが一つの特殊解。
検算
y' = (1/2) sin(t)
y'' = (1/2) cos(t)
y '' + 2 y' + y 代入してみると
y '' + 2 y' + y = (1/2) cos(t) + sin(t) -(1/2) cos(t) = sin(t)
成り立つからOK



オイラーの公式
sin(t) =
   ( eit - e-it )/2i

cos(t) =
   ( eit + e-it )/2

非斉次解 基本解が e-t と t e-t で、 特殊解が-(1/2) cos(t)。
非斉次解は、斉次解+特殊解なので、
y = c1 e-t + c2 t e-t -(1/2) cos(t)
が一般解となります。


初期条件 最後に t=0 のときyが 1, y'が0になるように
積分定数を調整すればいいんです。 
t=0 のとき
y = c1 + 0 -(1/2) = 1
∴ c1 = 3/2
y' = -c1 e-t + c2 ( e-t -te-t) +(1/2) sin(t)
なので、 t=0 のとき
y' = -c1 + c2 =0
∴ c2 = c1 =3/2
∴ y = (3/2) e-t + (3/2) t e-t -(1/2) cos(t)


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