東北工業大学 工学部情報通信工学科 中川研究室


オイラーの公式 eix=cos(x)+i sin(x)



オイラーの公式
東北工業大学 情報通信工学科
中川朋子



 理工系の大学や高専で必ず出てくる「オイラーの公式
eix = cos(x) + i sin(x)

初めて見たときはびっくりしましたよね。

右辺はまだいいですよ。 実部が cos(x)、虚部が sin(x) の複素数ってことですよね。
i は2乗したら -1 になるやつ、純虚数とか虚数単位とかいう名前でした。

わけわからないのは左辺ですね。
eの2乗とか3乗とかx乗ならともかく、 eの i x 乗とは??

それに、 右辺の sin(x) や cos(x) と
左辺の「eの何乗」って、形がぜんぜん違うのに、、、、




eix のことを
exp( ix ) とも
書きます








なぜこんなこと
考えたかというと
実は便利
けれども、これを納得できるなら、
微分積分の面倒な sin(x) や cos(x) を、
微分しても積分してもほとんど形の変わらない eix と e-ix で 書き換えられるので、すごく便利になりますよね。

eix = cos(x) + i sin(x)
e-ix = cos(x) - i sin(x)
よって
eix + e-ix = 2 cos(x)
eix - e-ix = 2 i sin(x)
使用例
よくある証明
それでいろいろ探すと、
「cos(x) を テイラー展開すると ああなって」
「sin(x) を テイラー展開すると こうなって」
「cos(x) の テイラー展開 +
  i かける sin(x) の テイラー展開 が
    eix のテイラー展開と同じになる」
っていう説明が出てきますが、
「テイラー展開って近似なんでしょ?」
と思うと
「近似したもの同士が同じになったからって、
本物同士が同じかどうか判らないじゃん」
などという疑問が沸いてきちゃったりして、
なんだかすっきりしませんね。

テイラー展開を使わない説明ってないでしょうか。


テイラー展開


(普通よくやるのは
eix のテイラー展開でなく
ex をテイラー展開した後
x に ix を代入)
説明は2段階

今回の説明は2段階で行きます。
まず
(1)  eix は cos(x) と sin(x) の1次結合
つまり
 eix = A cos(x) + B sin(x) (A,Bは定数)
の形に書いていいのか
次に
(2) A, B は何か (A = 1, B = i になる)
です。

指数関数 eax と三角関数 cos(x) , sin(x) の微分ができて
3×3行列の逆行列ができる人なら大丈夫です。



1次結合とは
パーツとなる関数に
定数をかけて
足したもの





(大学1年って
ことだね)

続く 

ロンスキー行列
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